いのちの原点、たんぱく質が不足しては始まらない。
タンパク質は、ギリシャ語でProteusが語源となっています。1838年にオランダの化学者ヨハンネス・ムルデルが卵白や牛乳などを調べているうちによく似ている化学組成の物資が共通していることに気が付き、命名しようとした。
そこでギリシャ神話のプロテウスにあやかって「Proteus」はどうだろうか?
この栄養素は動物界では、基本的であり、貴重な物質だからふさわしいと思うということになりました。
その後、医学や生物学の発展が目覚ましかったドイツ、イギリスへと伝わり、現在の「proteine(英語)」になります。
その頃から、タンパク質は重要とされていました。
さて人体の60%は水分で、20%はタンパク質、15%は脂質、その他の細かい成分は5%からできています。
細胞の乾燥重量の2/3はタンパク質からできているので、「人間のからだはタンパク質で作られている」と言われます。
タンパク質は、20種類のアミノ酸かペプチド結合で50個以上も結合した高分子化合物です。
人体には、きわめて多くの種類のタンパク質が存在しています。

細胞の中には生命現象そのものを担っている多くの酵素が含まれ、そのすべてがタンパク質です。
候そのほかにもタンパク質性ホルモンや外敵から生体を守るための免疫作用を持つ抗体などが生命活動の中で中心的な役割をしています。
すべてのタンパク質は20種類のアミノ酸から構成されています。
タンパク質の代謝の流れを見ておきましょう。

吸収されたアミノ酸は門脈をとおり肝臓に入り、血清などの合成に使われ、その他はアミノ酸プールに入ります。
※アミノ酸プールとは:体内には約25gの遊離アミノ酸(他の物質と結合していないアミノ酸)があり、血液中と筋肉中に存在し、これを「アミノ酸プール」といい、ようするに溶けて遊離した状態で存在
一定量を超えるとグリコゲン、脂肪に変換され、その結果、過剰となります。
アミノ酸の窒素成分は尿素として排泄されます。
続いて、アミノ酸の基本構造を見ていきましょう。

アミノ酸は、同一分子中に塩基性のアミノ基(NH2)と酸性のカルボキシル基(COOH)を持っていて、中性域では両性イオン、アルカリ性域では陰イオン、酸性域では陽イオンとして存在します。
このような性質をもつものを両性電解質と言います。
グリシン以外のアミノ酸では、分子中に不斉炭素を持つのでL型、D型の種類の立体異性体が存在します。
しかし、天然のアミノ酸は基本的にL型のみで構成されています。
タンパク質の材料となっている20種類の基本アミノ酸は、その側鎖の性質から、疎水性アミノ酸と親水性アミノ酸に大別されます。
また、構造から脂肪族、芳香族、アルコール、塩基性、酸性およびアミド側鎖アミノ酸の6種類に分類されます。

さらに体内で合成できる非必須アミノ酸、体内で合成できない必須アミノ酸に分類できます。
また20種類のアミノ酸が、どのような物質に変化しエネルギー源として利用されるかで糖原性アミノ酸やケト原性アミノ酸として分類されます。

基本アミノ酸の中にはタンパク質の材料ばかりでなく、ホルモンや神経伝達物質などの生理活性物質の前駆体となっているものがあります。
チロシン誘導体:ドパミン、ノルアドレナリン、アドレナリン、チロキシン
グルタミン酸誘導体:γ-アミノ酪酸
ヒスチジン誘導体:ヒスタミン
トリプトファン誘導体:セロトニン、ニコチン酸(NAD)
いろいろなものの原料になるタンパク質の重要性がお判りいただけたでしょうか?
細胞、ホルモン、酵素などの原料になるのです。
もちろん、卵子や精子、卵巣や子宮、女性ホルモン、男性ホルモンなどもタンパク質からできています。
積極的にタンパク質を摂取することが、健康への第一歩です。
実際、どの食品を、どの程度摂取すればよいのでしょうか?
体内のタンパク質は、毎日少しずつ入れ替わり、だいたい30日で全身の半分が新しくなるとされます。
また、タンパク質は体内貯蓄されないので、その日消費された量はその日のうちに補給することが必要で、体重の1/1000、体重50㎏だと50gのタンパク質が必要とされています。
そこで何をどのくらい食べれば必要量が得られるのかを考えるとき、プロテインスコア、アミノ酸スコアという方法があります。
アミノ酸スコアとは、タンパク質に含まれる9種類の必須アミノ酸のバランスを数値化したものをいいます。
人間のからだにとって理想とされる必須アミノ酸の量に対して、その食品に含まれている必須アミノ酸の割合を算出します。
すべての必須アミノ酸が必要とされる量を満たしている場合に、アミノ酸スコアは100になります。
つまり、アミノ酸スコアが100に近いほど、良質のたんぱく質であり、言うまでもなくたまごはアミノ酸スコアが100です。
ちなみに白米65、大豆86です。
牛肉、豚肉、鶏肉など肉類はすべて100となっています。
大豆のアミノ酸スコアが100となっているために、大豆など植物性タンパク質食品を売るための陰謀だという意見もあるようです。
信頼性を考えるとプロテインスコアが良いとされています。
プロテインスコアは特定の食品に含まれる必須アミノ酸が、人体が求める必須アミノ酸の比率と比較してどの程度含まれているかを評価したものです。
簡単に言うと、人の体内で作ることのできない8種類の必須アミノ酸をバランスよく含んでいるかどうかです。
プロテインスコアが100点なのは卵で、牛肉(80)や豚肉(90)、鶏肉(87)、さんま(96)が上位にいて、大豆(56)が低いことがわかります。

やはり私たちが口にする食べ物は、動物性食品が最高だということになりました。
なかでもアミノ酸スコア、プロテインスコアの最上級にあるのは「卵」です。
人として、妊活として、卵をしっかり食べましょう!!!
何かございましたらご質問ください。
銀のすず